2022/03/01 18:22



長年親しんできたタロットカードとチャームキャスティングを組み合わせたくてタロットシンボルのチャームを集め、試しに大アルカナチャームをキャストしてみると、カードを指定の位置に規則的に並べるタロットスプレッドと違い、チャーム特有の転がり方からキャスティングならではのリーディングが叶いました。

タロット+チャームキャスティングの楽しさと深みにハマり、タロットをフルデッキでチャーム化したいと思い始めて悩んだのは、小アルカナをどうするか、です。



四大(棒・聖杯・剣・金貨)コートカード(王・女王・騎士・小姓)のシンボルチャームは集まりましたが、1~10の数札をどうすれば良いか。

タロットチャームを探す過程で、既に販売されているタロットチャームセットを見つけました。
出品されるとすぐに売り切れてしまう超人気アイテムのようです。

【Etsy】クリエイター/Raven Edgewalker氏
Tarot Deck in a Tin - Casting Charms and Die - Pagan, Divination, Wicca, Witchcraft, 14 sided Die, Major and Minor Arcana

製造販売されているチャームの中から探すことになるので、かぶっているチャームもあります。

この方は1~10の数札とコートカードを11~14として、14面ダイスに対応させておられます。
「これは、アイディア賞もの!」と思い、私もコートカードのチャーム化をやめて、14面ダイスで代用しようと考えました(この時点では、自分用のツールとしてしか考えていませんでした)。

クトゥルフ神話TRPGサイコロのドラタコ
14面ダイス パープルカラー

構造上、作成が難しい14面ダイス。売り切れで入手出来ず、限定生産だったのか、再販のお問い合わせもしましたが、回答はいただけませんでした。

でも、大アルカナチャームだけでキャスティングを続けていると、大アルカナのみでタロット占いをする時のような解釈の難しさを感じはじめ、やはり小アルカナのチャーム化を諦めきれず、模索が始まったのでした。

***

まずは、1~10までの数札をダイス化することにしました。



ボードゲームのルールや仕様によるものなのか(?)、市販されている10面ダイスは0~9までのものの方が多いようです。
でも、1~10の10面ダイスももamazon等で比較的容易に入手することが出来ます。
可愛いお菓子のようなカラフルな半透明ダイスは、タロットチャームセットの中に入れても映えます🍬

四大(棒・聖杯・剣・金貨)のチャームがキャストされた時には、このダイスを振ることにしました。



たとえば、画像のように剣のチャームがキャストされたら、ダイスを振って出た目と併せて「剣の7」になります。

次の問題は、

「コートカードのスートはどうするの?」ということ。

仮に14面ダイスが手に入っていたとしても、私はきっとコートカードのチャーム(※以降、コートチャーム)を使いたくなってたと思います。
コートチャームを活用することを決め、スートの割り当てについて考え始めたところ、「箱庭療法の空間図式と対応させて、キャスト面を四分割した時に着地したエレメントのスートを割り当てれば良いのでは?」という方法に辿り着きました(その為に、専用のマットを作ることにも至りました)。



このように、面の左上にキャストされたコートチャームを、着地位置の「剣」のスートとするパターンです。

コートチャームに限らず、面のエレメントとチャームの性質を掛け合わせたり、タロットチャーム同士が着地したエレメントの相剋関係を解釈に加えれば、リーディングの幅も広がります。
(※例えば、「水」の愚者と「地」の節制は相乗効果をもたらす関係性、など)



ですが、このやり方でコートチャームのエレメントと各エリアのエレメントを固定してしまうと、同じ空間図式を用いて時系列の展開を読み解く際に不自然ですし、占いの結果が偏ってしまいます(未来のエリアのコートカードは常に棒になってしまう、等)。

そこで、今度はコートチャームのエレメントを割り当てるためのダイスを調達することに。

四大エレメンツはRPGにおいてもお馴染みの概念ですし、探せば既製品があるかも…と期待しましたが見つからず。
自作ダイス作成という、深そうな沼を避けるように周囲を探索しましたが迂回ルートはなく、4面の四大エレメンツの記号入りダイスの作成へと向かうしかありませんでした。

調べてみて分かりましたが、私がネット上で確認したかぎり、『カスタムダイス』というのは一般的に6面体ダイスの一部を自作の画像などと置き変えることを言うようです。
当然ですが、加工する面の数によって予算が変わってきます。

一番手っ取り早いのはレジンで自作することですが、ダイス本来の実用的な目的に対し、耐久性と出る目の正確性という2点において最適解ではなさそうでした。
振る際にある程度の重量も必要になってきますし。

アメリカのダイスメーカーCHESSEX社でもカスタムダイスのオーダーが出来るのでお見積りをお願いしましたが、4面ダイスの取り扱いはないとのこと。
また、国内の業者さんにも問い合わせたのですが、全面カスタムは作業量的に対応出来ないとお断りされてしまいました。

諦めかけたころ、奇跡的に海外サイトで4面ダイス&UVプリントサービスを発見!
試しに2種類オーダーしてみました。


ダイスは面の数によって価格が変わることから、有難いことに4面ダイスは一番安価でした。
それでも、私がオーダーした時点で1個につきダイス+UVプリント+送料で合計2000円弱でした。
2個で4000円もするダイスとか…この時点でアホですね;

そして、これが手元に届いて初めて気づいたのですが…

「4面ダイスって、どの面見ればいいの?」問題が発生。

マット作成時もそうでしたが、普通に考えれば気づく問題を、形にしてみないと分からないんですよね(;´Д`)
でも、こういうのは雰囲気が大事。
自分が「この面だ!」と思った面にすればいいじゃんね。とも思ったのですが…
やっぱり、出目が明確なダイスが欲しい。

それで、今度は4つのスート×2で8面ダイスの作成へと方向転換したのですが、上記カスタムダイスメーカーにオーダーすると価格も倍になる上に、UVプリントは綺麗でカラー出力できる利点はあっても、劣化を考えると前向きに検討出来なくなっていました。

前述のダイスメーカーCHESSEX社では、8面のカスタムダイスの篆刻オーダーが出来たので見積りをお願いしたのですが、理屈を考えたら当然のこととはいえ、ビックリ価格を提示していただくことになり…現実的ではなく。
もう、この4面ダイスを使えばいいじゃないか…と妥協し始めていました。

***

水転写デカールやエンボススタンプ、手書きペイントすることを想定し、何も刻印されていない無地ダイスを取り寄せる際、1個ではオーダー出来なかったことから、タロットチャームキットを頒布することを考え始めました。

ちなみにこちらは、ダイスメーカーCHESSEX社のダイスでデンマーク製です。
需要が少ないのでしょうか。中国では無地ダイスを作られていないため、意外と高価で出回っている数も少なく、入手は困難でした。


そして、この白いダイスを眺めること数日。

どうせカスタムダイスを作るなら、解決済の1~10の数字ダイスもタロットらしいACE~Ⅹにしたいと欲が出てきて無地の10面ダイスも調達し、同時に作成を考え始めました。

調べていく中でレーザー彫刻機なら、一般的な6面ダイスのような篆刻が出来るかもしれないと、思いきって、家庭用の安価な彫刻機を購入し、試しに刻印したものが、こちらです。



一見すると、実用出来るレベルの綺麗な刻印です。
でも、テスト刻印の複数回の痕跡が見えているように、一番こだわった「ACE」がどう設定しても面に収まらず。
加えて、回数を重ねるにつれ掠れる箇所が出てきてしまったり、各面の同じ位置に刻印することは至難の業であることから、断念。

でも、何となく刻印らしいことは出来た。
家庭用の安価なレーザー彫刻機では無理でも、業務用のものなら可能なのでは?と思い、今度はレーザー彫刻機のレンタルを探し、まさに希望していたサービスを発見し、スタッフさんに、小ロットで多角形ダイスへの篆刻というニッチ過ぎる要望をお伝えしたところ、とても丁寧に分かりやすいご回答をいただき、無地のダイスを持って工房へGO!

そして最終的に完成したのが、こちらの2種のダイスです⚄⚀


お借り出来るレーザー彫刻機は複数台あり、それぞれに特徴があって素材や加工の種類によって適応機種が違うとのこと。
最初、私は家庭用プリンターを使って篆刻したような黒字になることを想定していたのですが、ダイスの素材が発泡性のため、工房にあるすべての彫刻機を使っても篆刻して黒くすることは叶いませんでした。
結果、並ぶ業務用の彫刻機の中で最も高価で、企業利用の多い「レーザーマーカー」なるものをお借りすることになり、上品な色合いかつ、ヤスリで削るなどしなければ消えることのないプリントが実現しました。

この機械は、ダイヤモンドの側面などに髪の毛の何分の一レベルの線や文字を精密にマーキング出来る機械なのだそうです😲
スタッフさんが機械を設定して下さり、ダイスのどの面にも同じ位置にマーキング出来るようにして下さったので、あとは、コツコツとダイスを回転させながら、パソコンの実行ボタンを押してマーキングするだけ。
地道な作業は好きなので苦痛なことは一切ありませんでしたが、この機械は強力なUVを使ってるらしく、「1日作業してると真っ黒に日焼けしますよ」と、軍手を貸していただきました。
マスクはしてたし、レーザーの光がすごいので専用の眼鏡もお借りしたこともあって顔はガード出来てたし、少なくとも、目に見えるような日焼けはせずに済みました。

そんなこんなで、手元に集まったダイスたち、すべてマーキング完了✨

技術や知識が豊富なだけでなく、多趣味なスタッフさん(四大のペンタグラムを見て「ウィッカンですね」とご存知だった!)に不躾ながら事情を説明してご意見を仰いだところ、市販のダイスにこだわらない素敵なアイディアもいただき、うっかり夢が広がってしまい、いらぬ沼にハマりそうなくらいには楽しい時間でした。

***

作成出来た四大エレメントのベースとなる8面の空白ダイスは探せばまだ手に入りそうですが、10面ダイスの方は私が世界中を探して買いつくしても50個ほどしか集まらなかったので、万が一ご用意出来た以上の需要があった場合、また作れるかは現時点で分かりません。
ちなみに、オレンジ色の空白ダイスはまだあるようなので、試しに買ってみたのですが。



形状といい、まるでカレーに入れるニンジン。

でも、レーザーマーキングしたら恰好よくなるかも、と期待して工房に持ってったんですけど、マーキングしても焦げるだけで(茹でた時のニンジンみたいなヒビと色になった!)、刻印はできませんでした。
スタッフさんが「ダメか。透明だからなぁ」ておっしゃってて、え?透明じゃないよ?ニンジンでしょ??て思ったんですけど。
別のスタッフさんが通りがかって、「これはマーキングしないんですか?」と聞かれたので「出来なかったんです」とお伝えしたら、「ああ、透明ですもんね」とおっしゃってたので、どうやら、理論的に透明の何かがマーキングを邪魔してるらしいです。
理屈を説明されても理解できない自信があったので、聞くのはやめました。



勿体ないから、何かに使いたいんですけどね。
本当にニンジンにしか見えないので、ダキニオラクルカードの宇宙ニンジンと記念撮影してみました📸✨パシャリ。
こんなことしてる場合じゃないのにヽ(´o`;

**

ダイス込みでタロットチャームの価格は5500円となります。
私が購入者の立場だったら占いのツールとして、5000円を超える時点で相当悩みます。
単価💰はお高くなってしまいましたが、元々自分が占いのツールとして使う為に作ったものですし、これでも原価を割らないギリギリで相場を考えた価格にてご提供させていただいてます。

販売目的ではなく、私自身が使いたいと思い、こだわって作成したタロットチャームセットです💍🎁

占いのツールとして使ってみたいと思って下さる方、タロットとチャームを組み合わせた世界観に関心を寄せていただけたら嬉しいですし、お手にとっていただけたら幸いです☘